地震、噴火、てるてニュース8月号・9月号

鑑石園高齢者地域支援窓口の渡辺です。タイトル(表題)の画像は、気象庁ホームページからの引用で、日本列島周辺のプレートや海溝(かいこう)の様子を図示したものです。大昔は、地面の下に大きな鯰(なまず)がいて、その鯰が動くと地震が起こるとか、山の神様の怒りに触れると噴火するとか、言われました。しかし、科学の進歩により地球内部のことが少しずつ分かってきて、地震や火山噴火の起きる仕組みが理解できるようになってきました。

プレートというのは、地球の表面を覆(おお)っている岩石の層です。厚さは100kmくらいあるそうです。地球の半径は約6400kmですから、地球全体から見れば、薄い皮のようなものでしょう。プレートは大きく分けると、現時点では10数枚あると言われています。そして、それぞれ固有の方向へ年に数センチメートルの速さで動いています。そして、プレートどうしがぶつかり合ったり、一方が他方の下にもぐり込んだり、割れ目ができたり、そのプレートの動きが地震や火山噴火を引き起こす重要な要因となっていることが分かってきました。

富士山噴火をプレートの動きから説明してみましょう。以下の図をご覧ください。これは富士山の地下の様子を表した図です。NHKのホームページの中の「明日をまもるナビ」の中から引用しました。

富士山はユーラシアプレートという大陸プレートの上にのっています。そこへ南東の方からフィリピン海プレートが北西に向かって動いて、富士山がのっているプレートを押しています。両方から押された中心の弱いスポットへ、マグマが地下からこのすき間を埋めるように上がってきます。この方向にマグマが集中しやすいのです。火口ができる場所はマグマの上がり方によって変わり、どこに出来るかはわかりません。

富士山の噴火想定のハザードマップが、2021年3月に17年ぶりに改訂されました。次の図は噴火の可能性があるエリアと溶岩流の流れ出す範囲のエリアを図示したものです。

静岡県側で噴火をした場合、駿河湾に向かって溶岩流が流れ、東名・新東名高速道路、東海道新幹線など東西をつなぐ交通の大動脈が分断される可能性があります。実際に東海道新幹線の三島駅のそばでは1万年前に流れ出した富士山の溶岩の跡を見ることができるそうです。

富士山の噴火では溶岩ばかりではなく、火砕流も想定されています。火砕流とは、火山灰や大小の岩石が、高温の火山ガスと共に時速80km以上で斜面を流れ下る現象です。

噴火の噴出物について調査を続けている富士山科学研究所の馬場章さんが、3年前に見つけた痕跡は、火砕流堆積物が15メートルの高さまで積もっています。炭化した木片に含まれる炭素の年代測定などから、西暦600年代、飛鳥時代の火砕流であることがわかりました。堆積物は幅700メートル、長さ3.6kmに渡って広がっていて、推定された堆積物の量は、東京ドーム10杯分にもなるとのことです。

タイトル(表題)の画像を見ていただけばわかりますが、駿河湾は大陸側のユーラシアプレートの下に海側のフィリピン海プレートがもぐり込んでいる場所で、駿河湾から南西に向かって南海トラフという溝(みぞ)ができています。そしてそのもぐり込みによって蓄積されたエネルギーが解放される時に、大地震が起きると言われています。その震源地となる場所の違いで、駿河湾から遠州灘中部までで起きれば「東海地震」、浜名湖南方沖から紀伊半島沖あたりで起きれば「東南海地震」、紀伊半島沖から四国南方沖あたりで起きれば「南海地震」と呼ばれます。これらの地震は連動して起きやすいことが分かっており、そのためこれらの地震を総称して「南海トラフ地震」と呼ぶことが多いです。

1707年の宝永地震の際は、東海地震、東南海地震、南海地震の3つが連動して起きました。1854年の安政地震の際は、東海地震と東南海地震が連動して起き、その32時間後に南海地震も起きました。その後は、1944年に東南海地震、1946年に南海地震が起きています。その際、東海地震だけは起きていません。そのため南海トラフの東端の部分(いわゆる駿河トラフ)にはエネルギーが蓄積しているはずだとされ、1970年代には、盛んに東海地震対策が叫ばれたのです。しかし、それから50年、まだ東海地震は起きていません。その間、地震予知について盛んに研究がされましたが、今では予知は困難と考えて、予知できずに地震が発生した場合でも被害を最小限に食い止める方策を考える方に力が注がれています。

それでは、「夏の健康管理」と題した「てるてニュース8月号」、及び「最近の地震対策」と題した「てるてニュース9月号」をご紹介します。

毎回お知らせしていますが、「てるてニュース」の実物をほしい方は、鑑石園高齢者地域支援窓口の渡辺までお電話ください(TEL0545-52-0085)。メールでPDFファイルで送ることも可能です。なお、滝川福祉センターには、いつも数枚置いてあります。